農地の無断転用に関する罰則
農地の無断転用には罰則が科されます。
それも、農地法の許可を受けずに転用したり虚偽の申請をして許可を受けた場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金という極めて厳しい罰則です。【根拠法令:農地法第64条】
事前の手続きは非常に面倒で長期にわたることが多い農地転用ですが、罰則を考えれば手続きをしないわけにはいきません。
こうした罰則は地目が農地である以上は永遠に付きまといます。
長期間農地として利用されず、原生林となっているような土地であっても、登記上の地目が農地であれば法律上は農地です。
それに気付かずに整地して駐車場として利用していた場合は無断転用となってしまいます。このように無自覚に無断転用になってしまっている例も少なくはないでしょう。このため、土地を利用する際は必ず登記の確認は欠かすことはできません。
目次
もし無断転用をしてしまった場合は?
農地を無断転用してしまった場合、原状回復するか事後的に許可を取得するかの2通りの対処法があります。
原状回復とは、元通りに農地に戻すことです。そもそも農地を勝手に転用してはならないため、当然の処置と言えるでしょう。
まずはこちらの方法を検討すべきです。
しかし、既に建物を建築してしまっているような場合はそれも難しいという現状があります。解体にも費用が掛かりますし、経済的な損失は大きいです。
そこで、次にもう一つの方法である事後的に許可を取得する方法を検討します。
こちらはまず最初に役所の担当者に事情を説明して相談しましょう。無断転用の経緯を伝え、反省の意を示せば役所の担当者の理解も得られやすいかと思います。
事後的な許可が許されない場合もある
残念ながら、事後的な許可の取得が認められない場合もあります。
例えば、無断転用した農地が農用地区域内や生産緑地域内だった場合が挙げられます。農用地区域内や生産緑地域内の農地転用は原則として認められません。この場合は諦めて原状回復させるしかありません。
非農地証明を取得するという手段
さて、では長期間農地として利用されず、原生林に帰した土地を迅速に有効活用する手段は無いのでしょうか。
結論から言えば、あります。
それが「非農地証明」です。
これは、法的な根拠のない措置ですが、荒廃した農地を今後農地として扱わなくするという効果があります。
これを受けることにより、事後は農地法の適用除外の土地に生まれ変わります。
しかし、これは長期間農地として利用されていなかったことを客観的に証明しなければなりません。
しかも、長期間という期間は明確に決まっていません。各自治体によって解釈が異なります。
短いケースで10年、長いケースだと20年以上の自治体もあります。
非農地証明を受けられる具体的なケース
非農地証明を受けられる具体的なケースとして、農業用倉庫の敷地となっている場合が挙げられます。
農業用倉庫であっても固定資産税は課税しなければなりません。その納税証明書を必要年数分提出できれば長期間農地として使用していなかった証拠となります。
なお、最近では自治体によっては非農地証明で済む場合は非農地証明を優先し、許可申請を無理に通さなくても良いとするところもあるようです。
最後に
農地の無断転用は厳しい罰則があります。
かといって、放置していると思わぬところで痛い目をあうことがあるかもしれません。
例えば、家屋を立て直そうとする際、その土地が昔に無断転用していたことが発覚したならば、最悪の場合は原状回復しなければならなくなります。このため、無断転用は放置せずにすぐに役所の担当者に相談しましょう。
今回は以上で終わります。
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この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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