産業廃棄物収集運搬許可の概要
産業廃棄物収集運搬許可(以下、当該許可)は、建設工事現場等から排出された廃棄物を収集し、処理施設へ運搬する際に必要となる許可です。建設業者が自ら産業廃棄物の収集運搬をする場合でも、一部の例外を除いて建設業許可とは別に当該許可が必要です。
建設業の許可を検討されている方や、産業廃棄物収集運搬業を専門とする事業の開始を検討されている方は、是非当事務所に申請手続きをお任せください。
許可が必要なケース
廃棄物を運搬する場合において、いかなる場合でも当該許可が必要であるわけではありません。
産業廃棄物の定義は、事業活動により排出された廃棄物であり、かつ、廃棄物処理法及び施行令により定められた20種類の廃棄物うちのいずれかに該当するものです。
すなわち、それ以外の廃棄物を収集運搬する場合は当該許可を取得する必要はありません。(詳細な解説は省きますが、この場合は一般廃棄物収集運搬許可という別の許可が必要になります。現状として新規取得はほぼ不可能です)
これから許可を取得しようとしている事業者の方は、まずは対象となる廃棄物が産業廃棄物に該当するのかを確認しましょう。
以下のリンクから産業廃棄物となるものの一覧を確認できます。
産業廃棄物の具体例|東京都環境局 (tokyo.lg.jp)
許可の要件
当該許可の要件は大きく分けて以下の3種類です。
1 適切な人材はいるか(人)
2 適切な資材があるか(物)
3 資金は十分に保有しているか(金)
以下、1つずつ解説します。
適切な人材について
まず、第1項の「適切な人材」とは、日本産業廃棄物処理復興センターが主催する講習会に参加した者がいるかということです。それも、従業員であれば誰でも良いわけではなく、法人であれば役員等のうち一人または政令使用人(支店長、営業所長等)が、個人事業主であれば申請者が受講者でなければいけません。
講習会の日程は日本産業廃棄物処理復興センターのホームページから確認できます。開催の日程と場所があらかじめ定められているため、許可取得を検討されている方は、まずは最優先で参加申し込みをしてください。
繰り返しますが、この要件は許可を受けるうえで最優先事項であることを御認識していただきますようにお願いいたします。そのほかの要件については、リース等で対応が可能な場合があり得ますが、この要件ばかりは申請時に修了証が用意できなければ問答無用で不受理の裁定がされてしまいます。
まずは「いつまでに許可が必要なのか」をよく分析し、そこから逆算して講習会を修了しておくことが重要です。また、現在はインターネット上での講習受講が可能になったのですが、受講後の試験は実際に会場で行われるようです。
講習会の日程等は以下のリンクから確認することができます。
講習会・研修会を探す | 公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター (jwnet.or.jp)
また、上記の要件とは別に、役員または申請者が欠格要件に該当していないことも求められます。
代表的な欠格要件としては、破産手続きを受けてから5年以内、禁固以上の刑に処されてから5年以内、暴力団との関りがある等が挙げられますげられます。
欠格要件の詳細については以下のリンクからご確認ください。
欠格要件について - 群馬県産業廃棄物情報 - 群馬県ホームページ(廃棄物・リサイクル課) (pref.gunma.jp)
適切な資材について
第2項の「適切な資材」とは、廃棄物を収集するため容器及び運搬するための車両(駐車場を確保していることを含む)を指しています。
車両は車検証の写しにより使用者が申請者自身であることを証明する必要があります。
容器は運搬しようとする廃棄物の種類によりその形態が分かれますが、蓋のついたドラム缶やフレコンバックなどが挙げられます。
資金について
第3項の「資金の保有」とは、直近決算に債務超過がないかということです。
具体的に言うなら、貸借対照表の資産の部合計より負債の部合計が大きくなっている状態です。
不安がある場合は税理士等に相談しましょう。
その他の注意点
当該許可における最大の注意点は、申請書を提出してから実際に許可が降りるまでにある程度の時間がかかるということが挙げられます。
許可を申請する自治体にもよりますが、概ね申請から許可まで6か月前後はかかるのが通常です。
許可取得を検討されている方は、「いつから営業を開始したいのか」から逆算して計画的に準備を進めましょう。